夏のお魚

おさかな辞典(夏のおさかな)

アサリ(春~夏)

ご飯に炊き込んで深川ご飯はいかがですか。海の香りをお楽しみ下さい。

瀬戸内海、有明海その他の内湾で獲れる二枚貝。
日本海側でも砂浜の多い海岸では少量であるが平アサリが見られる。あさりは普段、砂に潜って水管を出し、海底にたまっているプランクトンや川から流れ出た有機物を吸い込んで栄養にしている。旬は冬から早春。

カラ付のアサリは砂出しをよくする。海水程度の塩水に殻が隠れるくらいにつけ、暗く涼しい場所に一晩くらいおく。使う時にカラをこすり合わせるように真水で洗う。ムキ身の場合はザルに入れて塩少々をふり、ザルを強くふってヌメリを出し、流水で軽くかき回しながら砂を落とす。

貝類全般にいえることだが、火を通しすぎないのがコツ。カラ付なら、口が開いたら火が通ったことなので、その時火を止める。ムキ身の場合は、煮立った汁に入れて、強火で煮て、身がふっくら膨れてきたときが煮えごろ。

◆あさりの酒蒸し
(1) カラ付アサリを砂出しして洗い水気をきる。
(2) フライパンに並べ酒を振りかけフタをしてしばらく蒸す。
(3) 熱が加わり過ぎると身が固くなるので、貝の口が半開き程度になったら皿に盛る


アジ(夏~秋)

刺身で食べるのが最高です。また、塩焼や煮つけにしてもおいしい魚です。

温暖性の沿岸回遊魚で、日本の周辺には広く分布する。
暖流にのって日本周辺沿岸に広く回遊するが北海道には少ない。
アジの中でも、マアジは日本沿岸のアジ類の中でも、もっとも普通に見られる種類である。
水揚げされたマアジは体長によって豆アジ(5~10センチ)小アジ(10~15センチ)中アジ(15~20センチ)大アジ(25センチ以上)などに選別される。
また内湾でとれる瀬つきの魚群と沖合いを回遊する魚群があり、瀬つきの魚群は背部が淡黄褐色なのでキアジと呼ばれ、沖合群は暗黒色でクロアジという。
大きさは中アジくらいで、味はキアジの方が優れているが、漁獲量はクロアジの方が圧倒的に多い。
日本近海には20種ほど分布し、巻き網、定置網、底引き網、釣りなどでとられる。

室アジ…関東以南、朝鮮、アフリカまで広く世界中に分布している。マアジよりも体高が低く背は緑色。伊豆七島の名産として名高い「くさや」にも使われる。

マルアジ…青アジとも呼ばれ、胸ビレが長く一見、マアジに似ている。ただしマアジに比べてゼンゴが体の後方にある。

メアジ…アジの中では小ぶりで、目が大きい。ゼンゴは体の後方部のみ。マアジと比べると側線のカーブがゆるやか。

オアカムロ…ムロアジ類の一種で、ひれが赤色なので簡単に区別できる。
全長40cm位で浅海から深所まで分布。

◆調理ポイント
ややくせがあるので、ねぎや生姜を取り合わせてたたきや、刺身に。ぜいごは焼き物や煮つけにする場合には前もって取るが、刺身の場合は、皮について取れてしまうので取らなくてよい。三枚におろしたときの身の中の小骨は、塩をして少し身がしまったところで骨抜きで抜くと身が割れない。

◆下ごしらえの方法
<ゼイゴを取る>
右に尾を向け、尾のつけ根に包丁を寝かせ入れ上下に小刻みに動かしながら、薄く削るように取る。(身は削らないに慎重に)
左手で身を包丁側に押すようにすると、取りやすい。
反対側も同じ要領で取る。
(包丁が抜けて左手を切らないよう要注意)

<三枚おろし>
(1)包丁をまっすぐに立てて持ち、頭を斜めに切り落とす。 皮をむく料理は、ゼイゴをつけたままでよいが、むかない料理は先にゼイゴを取る。
(2)包丁の先で腹を開いてワタをかき出す。 腹の中まできれいに水洗いし、水気を取る。
(3)腹を手前、尾を左に置く。 頭を取ったところから、中骨の上に沿って尾のつけ根まで包丁を引く。
(4)背を手前に置きかえ、?と同様に背側に包丁を入れ、中骨の上に沿って切り目を入れる。 皮を引くときは左手で尾のつけ根の抑え包丁を差し入れ、頭のほうに向けて引く。 身2枚と中骨になる。
(5)骨のついている腹身を薄くそぎ取る。 包丁を寝かせ入れ、すくい取るようにするとよい。

<四角ひれ塩・尾塩>
背、腹び各ひれと尾を、焦がさず焼き上げる方法。
親指、人差し指、中指で塩を取り、ひれをはさんで押しつける。表の腹の、ふくらみには指先で(化粧塩)。

◆つぼ抜きの方法
えらとわたをいっしょに取る方法。魚に包丁目を入れたくないときに用いる。アジ、ニジマスなどに。
(1) 割りばし2本を口から入れ、えらを両側からはさんできっちりと押さえ、ねじるようにしてはしを2~3度回す。
(2) 口を下に向け、そのままはしを静かに引き出すと、えらとわたが同時,に抜ける。もしわたが切れたら、残りははしでかき出す。


アナゴ(夏)

海ウナギとも言われ、脂質が多く、天ぷらや蒲焼、白焼にすると最高です。

マアナゴ、ゴテンアナゴなど数種あるがマアナゴがもっとも美味。 市場でもっとも見かけるのがマアナゴで全長90?位になる。
日本各地の沿岸に分布する。
秋から冬に産卵、夜行性なのでアナゴ釣りは夜釣りが一般的。
通年美味だが旬は夏。肉は白身で、脂肪分が多く近縁のウナギやハモと同様、血液中に弱いタンパク毒を持つので刺身では食べない。

料理方法は背開きにし、すし種、天ぷらなどにする。
すしやどんぶり物などは焼くと味がよくなるので、照焼きにして、煮物や蒸し物、鍋物などにする場合は、串を打って素焼きにしてから使う。
塩で軽くもみ洗いし、水と酒で柔らかく煮てから調味すると身がかたくならない。 かば焼きは、たれで味を生かす最高の調理法。

◆おろし方
(1) まな板の手前側に、頭を右、背を手前にして置き、ほおに目打ちか太いくぎを刺してしっかりと固定させる。
(2) 頭のつけ根に包丁を入れそこを起点に包丁を中骨に沿って尾の方向に引っ張るようにして開く。 上身と下身のついている部分に包丁を入れて完全に切り開く。わたを取り除く。頭の付け根で骨を切り、包丁を寝かせ入れて、尾の方にすうっと動かし骨を切り離す。 大きいアナゴは、背びれと腹びれを切り取る。


アマダイ(夏)

肉の甘味が名前の由縁です。照り焼やムニエル、グラタンなどにどうぞ。

アカアマダイ、シロアマダイ・キアマダイの3種類が本州中部以南に分布、日本海にはアカしかいない。
アカアマダイはアマダイ中最も普通に見られ、全長45cm位で30~150mの深さにすむ。 シロアマダイは全長60cm位でアカよりやや浅い所にすむ。
キアマダイは最も深いところにすみ、全長は30cm位。
底引き網、はえ縄、釣りなどで捕れる。
旬は夏。

3種類のうち、シロアマダイの味が最高とされ、次いでアカアマダイ・キアマダイの順とされるが、いずれのアマダイも、身は柔らかく、いたみも早いため、刺身にはあまり向かず、焼き物(塩焼き・味噌漬)、蒸し物、干物(開いて塩干し)にする。

◆おろし方
(1) よく切れる包丁でうろこを丁寧にすき取る。アマダイは身が柔らかいので、他の魚のように包丁でこすりとると身がくずれやすい。
(2) 頭を落とす。えらぶたに沿って両側から切り込みをいれ、魚をたてて上からも切り込みを入れる。この切り目に包丁の刃を当ててたたくと頭が落ちる。 腹を開いてわたを出し、洗う。
(3) 腹側から中骨に沿って尾まで切り込みを入れ、魚の向きを変えて背側からも包丁をいれ、2枚おろしにする。必要に応じて3枚におろす。

◆アマダイの酒蒸し
(1) アマダイの切身に塩少々ふり、塩が溶けるまでおいて身をしめ、酒をふる。
(2) 強火で5~6分蒸す。
(3) ポン酢醤油などで食べる。


アユ(夏)

味、香り共にすばらしく、塩焼にすると最高です。また、天ぷらにもどうぞ。

日本各地の河川にすむ1年魚。
サケ、マス類と近縁で、背びれの後方に脂びれがある。秋、川の下流に下り産卵する。稚魚は海に下り沿岸部で冬を越し、翌春、川を遡りはじめ、夏、上流に達して成魚となる。
河口、下流では昆虫や小さな甲殻類を食べているが、川を溯上するにつれ、石に付着する珪(けい)藻や藍(らん)藻を食べるようになる。成魚の上あご(鼻先)が特別な形をしているのはこのため。成魚は全長は30cm位になる。

天然ものと養殖ものに分けられ姿・形・香り、身の締まり全てに天然魚が優れている。
しかし養殖魚も最近では餌や養殖技術の進歩により、昔とは比べ物にならないくらい美味しくはなっている。
天然魚の内臓は美味、(下流の浅いところにいるアユは砂を飲んでいる場合があるため要注意)「うるか」は内臓の塩辛。

旬は土用の20日間といわれる。

アユの刺身は中骨も一緒に薄い輪切りにする方法(背越し)で作り、切ったあと、氷水の中に入れ、はしで軽くかき混ぜ洗い、余分な脂と汚れを落とし、もう一度新しい氷水に入れ身を締めて水気を切り盛りつける(酢3、酒1くらいに、塩少量の割合で合わせた中でさっと洗ってもよい)。
酢味噌、辛子酢味噌などで食べるのが一般的。

◆おどり串の打ち方
(1) アユは頭を手前、平串を口から入れ、中骨の上に沿って、わたの終わりあたりまで進める。わたを傷つけぬよう注意、次に串先を中骨の下に突き入れる。表面には突き出さない。
(2) 腹を右向きに持ちかえて串を進め、腹びれの終わりのところに突き出す。縫うようにすることで、うねった形になる。 
◆ひれ塩・尾塩
ひれを焦がさず焼くために、背びれ・腹びれ全てのひれと尾に塩をぬる。
親指、人差し指でひれをはさんでこすりつける。

◆アユの塩焼き
(1) アユはさっと洗って水気をふき、平串でおどり串を打つ。焼く直前にひれ塩をする。
(2)強火の遠火で、盛りつけたときに表になる側から焼く。
(3)平らなところに置いて串を抜き、新生姜の甘酢漬けなどを添える。


アワビ(夏)

刺身、酒蒸し、水貝にしてどうぞ。その希少価値から高値で取引される高級食材。

メカイアワビ、クロアワビ、マダカアワビ3種の総称。なかなか見分けにくいが、メカイはもっとも平たく赤褐色、クロはやや細長く緑色調の黒色、マダカは3種中最大で、殼も厚くて丸く、背面の孔管が高く突出している。3種とも本州から九州まで分布。福島から北海道に見られるエゾアワビはクロの亜種。巻貝中、もっとも美味とされ、市場では高値で取引される。

刺身や酒蒸し水貝などで食す。内臓の塩辛「としろ」は酒のさかなに最高。旬は秋の産卵をひかえた夏。 地元岩船では夏場、沿岸の岩場に生息するアワビを潜って獲る。

◆下ごしらえ
(1) 身にたっぷりの塩をつけ、たわしでこする。こうすると身がしまる、水貝にするときはとくによくこする。火を通す時は汚れを落とす程度でよい。
(2) 殻のとがつているほうのふちから、殻と身の間に木じゃくしを差し込んでぐっと力を入れ、貝柱をはずし、殻と身を離す。この部分はわたがないので、わたをつぶす心配なく扱える。
(3) 身の裏側についているわたを取り除き、先端の黒い部分を切り取る。まわりのぴらぴらしたヒダはアワビを立てて切り取る。

◆ひれ塩・尾塩
背、腹び各ひれと尾を、焦がさず焼き上げる方法。
親指、人差し指、中指で塩を取り、ひれをはさんで押しつける。表の腹の、ふくらみには指先で(化粧塩)。

◆酒蒸し
時間をかけて蒸すと柔らかくなる。
蒸しアワビには黄褐色のマダカ、メカイが適している。
塩でこすって洗ったあと、酒をふり、強火で2~3時間蒸す。
火を止めて、そまま冷めるまでおき、殼から身をはずす。

◆アワビの水貝
(1) アワビ(青っぽい色をしたものがよい)1個は下ごしらえし、周囲のえんがわを切り取って1.5?角に切る。
(2) きゅうり1/2本は皮をしま目にむく、うど10cmは皮を厚くむいて酢水に放す。トマト小1個は皮を湯むきして横2つに切り、種を除く。以上を一口大の乱切りにする。
(3) 供する直前に器に水を入れて氷を浮かせ、塩少量とこんぶ10cmを入れる。ここに(1)(2)を彩りよく浮かせる。そのまま、または、醤油や酢醤油で食べる。


イシダイ(夏)

独特の味が魅カです。夏の味覚に、あらいや刺身はいかがですか?

日本各地の沿岸に見られるが南日本に多い。
体に7本の黒色横帯があり、シマダイ、シチノジなどと呼ばれる。
成長するとしまが薄れ、口先が黒くなり、口黒などと呼ばれる。近縁のイシガキダイは縞がなく、黒い斑紋が石垣状に分布している。どちらもくちば状の鋭い歯で、ウニや貝類などのかたいものをかみくだく。
産卵期は4~7月で全長は60cm位。春の産卵期に磯近くに寄ってくるため、磯釣りの対象魚となる。旬は夏。

イシダイの活き作りは最高の夏の味覚、薄作りの刺身は身がしまり美味。ただ、マダイに比べると、今ひとつ淡泊で、また一種のくせもある、どちらかといえば、あらいに作ったほうが無難?中落ち(両側の肉を取り去った中央の骨に付着した肉)は吸い物にする。
塩をふってしばらくおき、さっとゆでて使う、潮汁などにすると出汁がよく出る。また、シマダイと呼ばれる幼魚は、煮付けると鍋が割れるほど旨いといわれ”鍋ワリ”と呼ぶ地方もある。

ムニエルにして、青じそやしその実のみじん切りをふり、レモン汁で食べる。
磯の香りがきついので、小麦粉にカレー粉を混ぜて焼くなどの工夫をするのもよい。

◆イシダイの焼切り
(1) イシダイの切身は塩をふって金串3~4本を打ち、強火にかけて皮側は2~3分、身側はさっと焼いてすぐ氷水につける。水気をふいて切る。
(2) 味噌、砂糖、だしを合わせて火にかけ、さっと練る。冷めてから酢、青じそのみじん切りを混ぜる(しそ酢味噌)。

◆イシダイのフライ
(1) イシダイはそぎ切りにし、塩、こしょう少量をふって5分くらいおく。
(2) (1)の水気をふき、小麦粉、卵、パン粉を順につける。
(3) 揚げ油を170~175度に熱して(2)を入れ、ときどき返しながら2分くらい揚げる。
(4) 揚げたての魚にレモンを添える。


イシモチ(夏)

白身でタンパク質が豊富です。塩で身を締めてから料理するのがコツです。

イシモチまたはシログチと呼ばれ、うき袋を使ってグーグーという音を出す。南方系で、水深40~80mの砂泥底にすむが、幼魚は内湾に多い。産卵期は5~8月。全長50cmを越すが30cm位ものが多い。底引き網で大量にとられる。近縁種のニベと混称されることが多いが、イシモチはしりひれ第2棘が短い。旬は夏。
近縁種のニベ、フウセイなど、地方名も複雑だが、いずれも白身の魚で、ニベ、フウセイは美味、イシモチはやや味が落ちるといわれる。漁獲量が多く、関西以南では蒲鉾などの、練り製品の主要原料として多量に消費される。

新鮮なものは刺身にもするが、ややクセがある、水分が多く味が淡泊なので揚げるとよい。他、蒸し物、煮つけ、塩焼きなどにする。

中国料理では姿のまま揚げてあんをかけたり、煮たりする。はじめの4~5分は170度くらいのやや低めの油で揚げ、次に油の温度を180~190度に上げて3分くらい揚げると、小骨も一緒に食べられる。

◆イシモチの姿揚げ煮
(1) イシモチはうろこ、えら、わたを除いてきれいに洗い、水気をふいて両面に切り目を入れる。
(2)酒、醤油、ねぎを、たたいてつぶした生姜1かけを合わせた中に(1)を約20分つける。
(3)汁気をふいて片栗粉をまぶし、180度の油で揚げる。
(4)ゆで竹の子、にんじん、干し椎茸はせん切りにしていため、水を加えて酒、砂糖、醤油で味つける。  (3)を加えて中火で20分煮、針生姜を散らす。

◆イシモチのさつま揚げ
(1)イシモチは三枚におろし、身をこそげて皮を除き、包丁でよくたたく。豆腐1丁は布巾に包み、元の重量の80?になるまで水けを絞る
(2)すり鉢に魚を入れてよくすり、豆腐、卵、砂糖、酒、塩を加えてする。
(3)にんじんは4×3cmの色紙に切り、約5分ゆでる。
(4) (3)をしんにして(2)を小判形にまとめる。
(5)揚げ油を170度に熱して(4)を入れ、きつね色に揚げる。


岩カキ(夏)

香気と舌ざわりをご賞味下さい。レモン汁をふりかけて、ポン酢でどうぞ。

流通する生カキのほとんどは養殖物。広島、岡山、宮城、岩手、新潟(佐渡の加茂湖)などで養殖されている。
どこの産地でも種類はマガキだが色々な産地条件などで粒の大きさが異なる。広島物は粒が大きく、三陸産は小ぶりが多い。新潟加茂湖のカキは1キロ入れの業務用として多く出回っている。
ここ岩船沿岸では養殖のマガキとは反対に夏場の産卵前(7~8月)にカキのシーズンを迎える。地元の漁師たちが岩場に潜り、一個一個とってくる。マガキよりも殻が厚く、調理する時は、なかなか容易には剥けないが、養殖物よりもむっちりと身がふくらみ、大き目のものはとても一口では食べられないくらいボリュームがある。

欧米人が昔から生食する唯一の水産物で、肉はなめらかで柔らかく、特有のうま味がある。無機質、ビタミン類が豊富で、この点での栄養価はすこぶる高い。
またカキにはたくさんのタウリンが含まれていて、アジやアサリの5倍、牛ロースの20倍以上含まれている。

◆扱い方
殻付きの場合は、殻をきれいに洗って殻を開ける。殻のかけらが付くので流水で洗い落とし、柱をはずして身を取出す。 
むき身の場合は、たっぷりの大根おろしの中でよくかき混ぜると、大根おろしに汚れが吸われて落ちる。そして水を替えて2~3回ふり洗いすると汚れを持った大根おろしが除かれ、カキがきれいになる。

◆カキ雑炊
(1)鮮度の良いむきカキを使う。出し汁に洗ったご飯を入れて煮立てる。出し汁の量はご飯が沈む程度が良い。
(2)コトコト火でご飯が少し柔らかくなるまで煮て、薄口しょうゆに、塩、酒で味を決め、2~3分煮る。
(3)カキを加えて一煮立ちしたら火から下ろす。わんに盛りしょうが汁を落とす。


イン貝(夏)

よく洗って殻をあけ、ひもの部分を除いて手早く塩水で洗い、水けをよくきって殻にのせる。

北海道南部から九州まで各地の潮問帯から水深40m位までの岩礁にすむ。東北、伊勢、瀬戸内海、九州に多い。
ここ岩船地方では夏場、サザエ、カキなどと一緒に沿岸の岩場に潜って獲る。普通のインガイより殻が厚く、大きい。当然、中の身も大きく食べ応えがある。
近似種のムラサキイガイはヨーロッパ原産で、海運に伴って世界中に広がったとされる。北方系で千島、北海道には以前から分布していたが、1920年代に本州中部に出現、その後全国に分布を広げた。欧米でも好んで食べられる。潮通りのよい浅海の岩礁に付着群生する。

近年、海の汚れなどあり、加熱して食べたほうがよい。もちろん、清澄な海域からのものは、生食がよく、橦赤色の肉はなかなか美味で、刺身やすし種にも適する。殼の腹縁前方から黒い足糸が出て、別名ニタリガイ、ヒメガイと呼び、婦人は共食いといい嫌う地方もある。

殼つきのままきれいに洗って蒸し煮にし、洋酒のおつまみに。蒸し煮にしたときに出た汁にサフランやオレンジの皮などを加えて煮詰めたものをソースに利用するとよい。 ゆでて身をはずし、若布やウドといっしょにワサビ入りの三杯酢であえると和風の味。

◆ムール貝のにんにくバター焼き
(1) ムール貝はよく洗って殻をあけ、ひもの部分を除いて手早く塩水で洗い、水けをよくきって殻にのせる。
(2) にんにくバターを作る。小さなボールにバター、にんにくとエシャロットとパセリの各みじん切り、レモン汁、塩、白こしょう各少量を入れ、クリーム状になるまで練り混ぜる。
(3) (1) のムール貝を天板に並べて白ワインをふり、にんにくバターを等分にのせてパン粉をふりかける。
(4) 天火を200度に熱して上段に (3) を入れ、4~5分焼く。
(5) 温めた皿にパセリを敷いて (4) を放射状に盛りつける。 パセリを敷くと、彩りがよいだけでなく、貝殻の安定もよい。エシャロットは姫らっきょうともいい、ねぎの仲間。手に入らないときはあさつきの白い部分を使う。


ウナギ(夏)

おなじみ夏のスタミナ料理「蒲焼き」の定番。今やそのほとんどが養殖物。静岡産が有名。

太平洋側は北海道以南、日本海側は秋田県以南に分布。金華山、能登半島以北には少ない。湖沼、池、内湾などの砂泥底にすみ、夜行性の肉食魚で、全長1m位に達する。秋、産卵のため海に下る。日本産ウナギの産卵場所は、沖縄南方から台湾東岸沖にかけてという考えと、南シナ海北部とする考えと二説あるが、まだ確かめられていない。
現在は春先に沿岸に来た幼魚を捕えて養殖するものがほとんどで、天然産は1割に満たない。

一般的には1尾100~150g程度のものがよく、土用のウナギの蒲焼には天然ウナギで、150g程度のものがもっとも美味とされる。養殖ウナギは、餌のイワシやサバの脂質が体油として蓄積し、肉の油は、しっこいくらいの食感を与える。
旬の7月末の土用に、ウナギを食べる習慣は、栄養的にはビタミン・脂肪含量・カロリー値が高く夏バテ防止に役立つ。

ウナギといえば蒲焼が定番だが、素焼きにしたものをなべに入れ、山椒の佃煮をたっぷり散らし、水、醤油、みりん、多めの酒を加えてことことと30分くらい煮て保存する。そのまま温かいご飯にのせて食べたり、お茶漬け(ウナ茶)に。このほか刺身、あらい、天ぷらなど調理方法は豊富だが、刺身にする時は血液を完ぺきに洗い落とすこと、血清毒には要注意。

◆ウナギ入り茶碗蒸
(1) 卵2個はだし1と1/2カップ、塩小さじ2/5、醤油少量を加えて軽く混ぜ、こす。ウナギの蒲焼6串は適当に切る。
(2) 蒸し茶わんにウナギ、卵液の順に入れる。蒸気の上がった蒸し器で初め強火で約2分、次に弱火にして8~10分蒸す。
竹串を刺してみて、なにもついてこなければよい。
(3) なべでだし1カップ、塩小さじ1/5,醤油小さじ1/2、みりん小さじ1を熱する。これをあつあつの茶わん蒸しに張り、刻んだ三つ葉を散らし、おろしわさびをのせる。


ウニ(夏)

生ウニをわさび醤油やポン酢で! 酒蒸しにしても美味です。

その種類は世界で800種以上、日本だけでも100種を超えるほど多い。
ただ、食用にされるのは数種類。卵巣を食するので一個から取れる量も多くなく、高値で取引される所以。
浅海の岩礁のくぼみ、割れ目、岩の下にすむものが多いが、深海に生息するものもある。
殻の形により大きく三つに分類される。

○正形類―殻が丸く長いとげを持つ。ムラサキウニ、バフンウニなど。(地元岩船で獲るのは殆どがムラサキウニ)
○タコノマクラ類―形が偏平でとげが短く小さい。
○ 心形類―とげは細く先が曲がっていて心臓の形をしている。オオブンブクなど。

食用種としては、緑色でとげの短いバフンウニ(東北~九州)、紫黒色のムラサキウニ(全国)、北方系のエゾバフンウニ、キタムラサキウニ(どちらも東北、北海道) 南方系の鮮紅色のアカウニ、黄褐色のサンショウウニ、球形のコシダカウニ(どれも東京湾以南)などがある。

卵巣を食べるので、旬は産卵期前の春から夏。
生で独特の濃厚な風味と香気を味わう、殼をむいたものはオレンジ色の光沢のありしっかりした固まりのものがよい。この他、ウニ焼、ウニあえなどもなかなか。

生のままわさび醤油で食べるのが酒の肴には最高。洋酒にはレモン汁もよい。豆腐の上にのせて冷ややっこにしたり、キュウリやウドの薄切りに少量のせてオードブルに。
酒、みりん、塩と混ぜ合わせてあえ物の衣にも向く。


カワハギ(夏)

チリ鍋に最適です。特にその肝臓はねっとりとした舌ざわりで、美味です。

本州中部以南、東シナ海にまで分布する。定置網によくかかり、釣り魚としても馴染みが深い。5~8月に産卵し、稚魚は流れ藻に群れ、その後、藻場で暮らすが、大きくなると岩場に移る。
全長は30cm位になり、背びれの一本が糸状に長くのびているのが雄。カワハギ類は皮がかたく、ざらざらしている。
まず口先に包丁を入れ、そこから尾の方へ皮をはいでから調理するのでカワハギの名前がついた。

刺身で食べるには皮をむき、三枚におろして薄いそぎ切りにし、肝で作った肝酢で食べる。カワハギの肝は大変おいしいので捨てないで利用する。食通はまず肝から食べるといわれる程の珍味。

皮をむき、三枚におろして薄いそぎ切りにし、肝で作った肝酢で食べる。カワハギの肝は大変おいしいので捨てないで利用する。その他には酒蒸し、塩茹で、煮つけ、鍋に。
口当たりが柔らかく、淡白でありながらむっちりとした旨みが有る。肉は白身でよくしまり、くせがなく美味である。煮つけの旨い魚だが、新鮮なものは刺身にする。初夏のカワハギはフグに匹敵するともいわれる。

◆かわはぎの皮のむき方
(1) 頭の上にある角を切り取り、口先を切り落とす。口先はかたいので、出刃包丁の先のほうを、左手でぐっと押さえると力が入って切りやすくなる。
(2)角がついていたところと口の間から皮をはがし、包丁で口のあたりをしっかり押さえ、左手で皮をぐっと一気に引っぱる。こうすると皮が、たやすくむける。もう一方も同様に引っぱって皮をむく。

◆きも酢の作り方 肝に塩を多めにふってしばらくおき、ゆでて裏ごし、そこに少量の味噌と酢を適宜加えてトロリとのばす。


キス(夏)

白身の上品な味で、とりわけ夏期に旨味が増します。酢の物や天ぷらに。

本キス科キス属には、シロギス、アオギス(ヤギス)、キギスがいるが、普通に見られるのはシロギス。
日本各地の沿岸、内湾の砂底にすみ、定置網、刺し網などでとられる。冬、50~60?の深みに移動し、春に浅所に戻る。細長い体は25cm位になり、やや黄色味を帯びた銀白色で、口先は長くとがっている。産卵期は6~9月。ハゼとともに大衆釣りの対象として親しまれている。内湾・沿岸にすむ魚で、通年美味でだが、とりわけ夏期にうま味が増す。

肉は白身で脂が少なく上品な味で、刺身、塩〆にして、皮をむき、糸作りやすし種として生食する。近縁ヤギスは一回り大きいが、味はかなり劣る。

昆布〆にすると昆布の風昧が加わって味にこくが出る。他は塩焼き、わん種、背開きにして天ぷら、フライ、などにしても旨い。味は上品で癖がない。また、刺身や背開きで取り除いた中骨は、から揚げなどにして骨煎餅に。

◆吸い物
キスを千代結びにしたもので、わん種に用いる。

(1)うろこをこそげ、頭を取り除き、腹を開いてわたを出す。水洗いして、水気をふき取る。
(2)尾を切り離さぬようにおろし中骨をとり、腹骨をそぎる。これを千代結びにする。
(3)(2)に塩少量をふり、キスがやっとかぶるくらいの湯で約1分ゆでる。あるいは皿にのせて蒸してもよい。
(4)三つ葉といっしょに吸い物のわん種にする。


キハダマグロ(夏)

色持ちも良く夏の刺身ネタのひとつで、この季節では多く使われる。バチマグロに次いで入荷量も多い。

北海道以南の暖海に生息するマグロで、初夏になると近海物が水揚げされる。世界の熱帯、温帯域に広く分布し、日本では夏に北海道以南の各地に来遊するが、日本海へはめったに入らない。漁法は小型魚を中心としてさお釣り、中型魚は延縄でとり、三陸沖では施網漁も行う。水揚げ量は、冷凍魚を合わせるとマグロの中ではメバチに次いで多く、夏のマグロとして重要な魚である。
キハダはマグロ類中もっとも特徴のあるひれを持つ種類なので、容易に類別できる。まず、第一背びれを除いたすべてのひれが黄色で、とりわけ背びれと腹びれ後方にある各九個の「離れびれ」は黄色が鮮明である。全長では3m、重量は約100Kg程度に達するものも有る。

クロマグロやミナミマグロほど脂は濃くなく、身の色は薄いもも色であるが、赤身のマグロの中ではもっとも色持ちがいい。

扱い方、おろし方、調理法は、ほぼクロマグロと同様であり、刺身、すし種によく、夏の赤身として美味である。


車エビ(夏)

エビの最高級品です。特有の甘味がおいしく、刺身、天ぷら、具足煮に。

日本近海からアフリカ東海岸まで広く分布する。波静かな内湾にすみ、沿岸から水深100メートルくらいまでの砂泥底にすむ。体長20cm~25cmくらい。
大正エビやクマエビなどと異なり尾節には側縁に小さなトゲがある。
腹部に茶褐色ないし青褐色の横稿があるので、腹部を曲げたときに、この稿模様が車輪のように見えるためクルマエビの名が付いたとされる。
岩船沿岸では夏場に刺し網などでとれる。最近では各地で養殖されており、生きたまま砂やおがくずと一緒にダンボール箱に入れて流通される。

鮮度の良い物はもちろん刺身で味わう。天ぷらにすると、ぷりぷりとした歯応えが何ともいえず、旨みは他のエビに比べ物にならないほど美味。 すし種にも使われ、おどり(生)はもちろん、ゆでても最高の味。


コチ(夏)

あらいや刺身、また、魚臭が少ないので、天ぷらや鍋物にもよく合います。

"平たい頭"という学名のとおり、頭部、それに体も平べったい。千葉県小湊、新潟以南に見られる暖海性の魚。この種は台湾、フィリビン、オーストラリア、インド、紅海、喜望峰まで広く分布する。
内湾、沿岸の砂泥底にすむが、2~3mの浅所から、40~50mの深所までいる。5月ころに浅場にきて卵を産む。底引き網、刺し網でとる、全長50cm位。
旬は8月。

マゴチ、ホンゴチとも呼ばれ、夏の白身魚としては、スズキ以上の高級魚。淡水にもかなり強く、生きたまま人荷することもあり、あっさりした味は、スズキ同様にあらいにすると美味い、さっと熱湯に通して湯洗いし、氷水につける。また、薄作りにして生食するのが最高、身がしまってややかたいので、フグ同様に、薄いそぎ作りにすると食べやすく歯ざわりもよい。魚臭が少ないので、天ぷら、焼き物、鍋物にも適している。釣りの対象魚としても人気がある。

<扱い、おろし方>
コチには、胸びれに鋭い棘があるので扱うときに注意する。
(1)包丁で鱗をこそげ取りきれいに洗う。
(2)頭を落として腹を裂き、内臓を取り除く。
(3)背骨についた血わたをきれいに洗い、腹を裂いた肛門の部分から尾に向かって中骨に沿って包丁を入れる。返して背側から片身を下ろす。
(4)次に、中骨を下にし、頭のほうから中骨の上に包丁を入れ、もう片方の身をおろす。
(5)皮を引き、小骨は抜きにくいので、さらに背と腹に分け小骨の部分を取り除く。


コハダ(コノシロ)(夏)

コノシロの幼魚で、すしや酢の物に。身が白くなるまで酢に漬けて下さい。

小さいものをコハダという。沿岸性の魚で1~2月に内湾に人り、3~6月に産卵。本州中部以南に分布。
ママカリ(サッパ)に似ているが、背びれの先が糸状にのび、エラのわき黒斑があるので区別できる。おもに巻き綱でとられ、全長25cm位になる。旬は秋。

家庭料理にはあまり用いられないが、脂が多く栄養価の高い魚で、小型のコハダの方が脂が適量で、味にしつこさがなく美味。

◆下ごしらえ 身が薄い魚なので、じかに塩をふるよりたて塩(塩水)につけたほうが塩が均等にまわる。小骨が多いが、酢でしめると気にならなくなる。酢につける時間は長めがよく、身が白くなるまでつけておいたほうがよい。



サザエ(夏)

刺身、壷焼は最高の味です。ふたを堅くとじた新鮮なものをお選び下さい。

全国各地の沿岸に分布。岩礁地帯の水深1~10mにすむ。
いわゆるツノが有るものと無いものがあるが、外海の波の荒い場所ではツノが長くなり、内海の静かな場所では短くなる。一般にツノの有るほうが味がよいとされ、高価に取り引きされるようだが、同種であまり味の差はない。新潟では夏場に沿岸の岩場で多く獲られ、ツボ焼きや刺身などで食べられる。わたのしっぽの部分が緑色ならば雌で、クリーム色ならば雄。サザエは夜行性で、夜に出てきて海藻を食べ、餌の海藻の種類で殼の色が変わる。6~7月に産卵。

肉質はややかたく、独特のほろ苦いうま味がある。とくに「サザエのふんどし」と呼ばれる外套(がいとう)膜縁に苦味の強い部分(身と肝の間)がある。産卵期前の春から夏にかけてが旬。

刺身にする場合、生のままより、薄切りにしてからさっと霜降りにしたほうが柔らかく、歯当たりがよい。わさび醤油、からし酢味噌がよく合う。

◆下ごしらえの方法◆
(1) 貝殻を固定させて貝割りを差し込み、左右に動かして柱を切り離す。ゆるんだ身を半分ほど引き出す。
(2) 指を入れて貝を下向きにし、身とわたを静かに引き出す。ふたを包丁ではずし、身とわたの間にある砂肝を切り除く。身の周囲のえんぺら、口先も切り除く。
(3) 食べられるのは身と肝先、ほかは食べられない。

◆サザエのつぼ焼き
下処理して殻に入れ、酒をきかせた吸いだしを加えて直火で焼く。


シイラ(夏)

油分が少ない魚で、バター焼や野菜ソースをかけると旨味が増します。

本州中部以南、世界の温暖海に分布。
海の表面近くを遊泳し、浮遊物の下に集まる小魚を狙う。ルアーでのトローリングが有名。英名はドルフィンといい、ゲームフィッシングのターゲット。海中を泳ぐシイラは見事な黄金色に輝いており「黄金の魚」ともいわれ、釣り上げると問もなくまばゆいばかりの色は消えてしまう。新潟沿岸では夏になると定置網などで獲れる。ただ、あまり脂がなく、夏場の暑い時期の魚なので、あまり高値では取引されない。また日本海側では、その習性を利用し、竹や柴をたばねたものを浮かしておき、その下に集まったシイラを、巻き網や釣りでとる「シイラ漬け」という漁法がある。産卵期は夏で、全長は1.8m位に達する。

白身の肉はやや水っぽいが、鮮度のごくよいうちなら刺身にもなる。クセの無い味なので塩焼き、照焼き、フライなどにしても良い。他、練り製品や塩干し品に加工することが多い。昔からシイラは、雌雄の仲がよいという言い伝えがあり、塩干品は結納の品に使われることもある。

油けが少なく身がパサパサしているので、バター焼きにするのがよい。 火が通りやすいように薄めの切り身にして、さっと焼くようにする。 玉ネギ、トマト、ニンニクなどで野菜ソースを作り、バター焼きの上からたっぷかけるのもよい。


シジミ(夏)

身より汁といわれ、ダシに旨味があります。また佃煮、時雨にもどうぞ。

いくつかの種類があるが大きく分けて3種類。大和シジミ、真シジミ、瀬田シジミ。海水の影響をうける河口にすむ大和シジミはもっとも産額が多く、土用シジミの名の通り旬は夏。中国地方では宍道湖で多量にとれる。対して別名、寒シジミといわれる真シジミは旬が冬。淡水系で河川の中流以上のきれいな砂地にすみ、冬に旨みが増す。大和シジミの同属の瀬田シジミは琵琶湖特産。新潟の河川では場所によって大和シジミが夏場に獲れる。粒が大きめだがそう多くはとれない。

味噌汁にするのが一般的。数時間水につけて砂や泥臭さを除き、手でよく洗う。 分量の水に味噌を溶いて火にかけ、ぬるくなったらシジミを入れ、煮立って口があいたらすぐに火を止める。煮すぎ・温め直しはよくない。吸い口は粉山椒が合う。


シタビラメ(夏)

隠し味に牛乳を少々ふりかけて、バター風味のムニエルにすると最高です。

関東以南の太平洋側、新潟以南の日本海側各地で水揚げされる。おもな種類は日本各地に見られるクロウシノシタと、中部以南に分布し、南日本に多いアカシタビラメ。どちらも砂泥底にすみ産卵期は夏。
新潟でもアカ、クロどちらも底引網でとれる。もっぱら西洋料理に使われ、塩コショウをしてバターで焼いたムニエルは旨い。フランスやイギリスで賞味されるシタビラメは体長60cmにも達するが日本でとれるものはせいぜい20~30cmくらいである。

アカシタビラメのほうが肉量も多く美味で、単にシタビラメという場合はアカをさすことが多い。
皮は非常にかたく、肉は白身で柔らかく、刺身にもなるが、フライかムニエルに向いている。

◆おろし方(皮のむき方)
(1) 頭の先を包丁でしごいて皮を少しはがし、引っぱって皮を一気にむく、塩をつけると滑らない。
(2) 裏側の皮も同様にむいて頭を切り落とし、切り口からワタを出して、水でよく洗う。
(3) 両側の、骨が横にたくさんついている部分(えんがわ)を切り落とす。尾の先のとがった部分も切り落とす。

◆おろし方(皮のむき方)
(1) 頭の先を包丁でしごいて皮を少しはがし、引っぱって皮を一気にむく、塩をつけると滑らない。
(2) 裏側の皮も同様にむいて頭を切り落とし、切り口からワタを出して、水でよく洗う。
(3) 両側の、骨が横にたくさんついている部分(えんがわ)を切り落とす。尾の先のとがった部分も切り落とす。


スズキ(夏)

淡泊で、上品な味わいの高級魚です。刺身、塩焼き、酒蒸しにしてあっさりと。

日本各地の沿岸に分布する日本の代表的海産魚の一つ。セイゴ(30cm以下)、フッコ(30~60cm)、スズキ(60cm以上)と成長に伴い名が変わる出世魚。全長は1mに達し、夏は内湾から川にも入って餌をとり(汽水域のものはクセがあり不味いらしい)、冬場は深みに移り産卵する。定置網、釣り、刺し網などでとられる。
えらが鋭く、跳躍一番、釣り糸をえらで切って逃げる「えら洗い」は豪快。

白身の魚であるが、脂のたまりやすい肉質を持つ。旬は夏で、夏の大スズキは脂がのりきっていて美味。マダイとともに昔から高級な刺身魚として珍重される。

鮮度のよいものが手に入ったらぜひあらいに。すすぎ洗いしたように美しい白身からスズキという名がついたといわれるだけあり夏のスズキは天下一品。
薄くそぎ切りにしたものを氷といっしょにざるに入れ、上から水道の蛇口を手で押さえて強く出した水を当てると身がはぜる。あらは酒をふって、豆腐、生しいたけ、春菊とともに蒸し、ポン酢醤油で。他に、塩焼き、わん種、揚げ物など用途の広い魚である。


セイゴ(夏)

スズキの幼魚です。蒸し焼にして、あついうちに生姜醤油でどうぞ。


タチウオ(夏)

惣菜用の魚で、煮つけや塩焼き、照り焼に。充分時間をかけて焼いて下さい。

名前のとおり細長く平たい銀白色の魚。尾部はひも状になり、歯が鋭い。姿形は似ても似つかぬが、サバ、カツオ、マグロ、カジキなどと同じ仲間。
本州中部以南のやや深いところに棲み、夏の産卵場と冬の越冬の場の間を回遊する。朝、夕の薄明時に海面近くに浮上する。普通は頭を上にして立ち泳ぎをしている。夏に産卵し、全長は1.5mに達する。
底引き網、刺し網、釣りなどでとられる。初春から夏に多く出回るが、脂ののった夏が旬。全身に鱗はなく、銀白色の細かな粉におおわれており、鮮度が落ちると銀粉がはげてくる。
この銀粉は、模造真珠光彩に使われたり銀箔紙が作られたりする。

肉は白身で柔らかく小骨が多いが、脂があるので塩焼き、照焼き、みそ漬けなどにすると最高に美味い、夏の焼き物の逸品。また、高級かまぼこの原料としても用いられる。
塩焼きのほか、鮮度のよい物は、刺身にもする、身が柔らかくほんのりとした甘味があって旨い。

焼くときは、脂がのっているので、少し時間をかけて焼く。
皮がつきやすいので串を打ったり、充分に焼いて油をなじませたフライパシで焼く。


ドジョウ(夏)

タンパク質、ビタミンAが多い夏の栄養食です。蒲焼、柳川鍋にどうぞ。

日本全土の浅い池、沼、稲田、小川などにすむが天然物は農薬の影響で減少。そのため市場に出回っているものは、ほとんどが養殖物。
主産地は青森、宮城、茨城、千葉、新潟、香川など。

淡水魚特有の泥臭さがかなり強く、臭みを除く為、2~3日真水に泳がせてから、生きたものを調理するが、家庭で開くのは難しく開いたものが売られている。意外と淡泊な味で小型のものは丸ごと食べる。

丸のままみそ汁にする場合は、生きたものをなべに入れて酒少量をふり、フタをして火にかけ、ドジョウが静かになったら汁で煮る。

◆柳川なべ
(1) ささがきごぼうを作り、水にさらす。
(2) 開いたドジョウを用意する。
(3) 出し汁、みりん、しょうゆ、砂糖を合わせて煮汁を作る
(4) なべにごぼう一掴みを平らに敷き、開いたドジョウを、皮を下にして放射状に並べ煮汁を注ぐ。強火にかけて一煮立ちさせ、溶き卵をまわし入れ、フタをして吹きあがったら火を止め蒸らす。


トビウオ(夏)

タンパク質が多いわりにサッパリとした味です。昆布〆や唐揚げに。

ホントビともいう。
外洋性で4~7月の産卵期のときだけ接岸し、海藻に卵を産みつける。流し網でとられ、全長は35cm位。胸ひれが長く、空中を滑空(高さ2m、飛距離400mに及ぶ?-そんに飛んだら干物になっちゃうよ!-)するトビウオ類は日本近海に二十数種いるが、水産上重要なのはホントビのほか、ホソ、ツクシ、アリアケ、ハマトビウオなど。
春から8月ころまで、魚屋の店頭に姿を見せるが、産卵を終わり、栄養状態が回復する夏が旬。

脂質が少なく、味は淡泊。地方によっては、すし種に用いたり、干物などにする。
鳥取のアゴちくわは、トビウオを材料にしたもので美味。トビウオは、身がやや堅く、さっぱりしているので、やや濃い目の味付けに仕上げたり、下味をしっかりつけるほうがよい。
小骨が多いので少々食べにくいが、塩焼きにしたり、三枚におろし、骨切りをして、醤油、酒で下味をつけて片栗粉をまぶし、やや高温の油で揚げるたりすると美味い。

小骨が多いので少々食べにくいが、塩焼きにしたり、三枚におろし、身のほうに細かく深い切り目を入れて骨切りし、醤油、酒で下味をつけて片栗粉をまぶし、やや高温の油で揚げるたりすると美味い。

◆トビウオの団子汁
(1) トビウオ1匹は三枚におろして包丁で身をこそげ、たたく、中骨は焼いて3つに切る。
(2) すり鉢に魚、味噌大、生姜汁少量を入れてよくすり混ぜ、酒を加えてさらによくする。
(3) 水、昆布、中骨でだしをとる。(3) を団子にしてだしに入れ、3~4分煮る。生椎茸を加え少し煮、塩、醤油で調味する。
(4) わんに盛り、ゆでたさやえんどうと生姜を添える。

◆トビウオの唐揚げ
(1) トビウオは、うろこ、頭、わたを除いて三枚におろし、骨切りをする。
(2) を一口大に切り、塩、酒をふる。
(3) (2) の汁気をふき取って全体に小麦粉をまぶす。
(4) 揚げ油を180度に熱し、(3) を入れて九分どおり火が通ったらいったん網に取り、食べる直前にふたたび揚げる。夏みかんとおろしたキュウリに酢、醤油、塩を加えた緑おろしを添える。



ハモ(夏)

濃厚な旨味をもつ魚で、皮もつけ焼にして炊き込み飯や酢の物に用います。

太平洋が福島、日本海は新潟以南の各地の沿岸にすむ。
東シナ海に多く、以西底引き網で大量にとれた。近年、減少している。歯が鋭く、餌は魚、イカ、エビ、カニ、シャコ、タコなどの動物性。ウナギ、アナゴと近縁で腹ひれがない。産卵期は5~8月。全長2m位。幼生はレプトセファルスといって、半透明の柳葉状。

全長2m位に達するが、あまり大きくないほうが美味。関東での需要は少なく、関西、とくに京都で盛んに賞味される。小骨が多いので、肉にていねいに包丁を入れて、歯や舌に感じないように骨切りをする。旬は夏で、柔らかい白身の肉には、脂肪が多く濃厚な風味がある。皮もつけ焼きにして炊き込み飯に用いる。小骨が多いので、開いて骨切りしてから使う。熱湯にくぐらせて冷やし、梅肉醤油で食べるのがさっぱりしておいしい。

<ハモのつけ焼き>
骨切りしたハモを切身にし、強火で皮の方から焼き、きゅっと身が縮んだところで裏返しにし身の方を焼く、うっすら焼き目がついたらもう一度返して皮を焼く。
たれを身の方に二~三回かけてあぶり、皮側に一回かけて焼く。 たれは濃口醤油、味醂、酒各一を合わせ、一分間ほど煮立てて冷ましたもの。


ビンナガマグロ(夏)

白っぽい身が特徴的。刺身よりバター焼などの方が向く。おなじみシーチキンの原料としても使われる。


ホヤ(夏)

磯の香りを生かすには、生で酢の物にするのが一番。きゅうりや大根おろしと。

マボヤ、アカボヤ、スボヤなどがあるが食用にするのはマボヤ。北海道から四国、九州まで分布するが、太平洋岸では三陸沿岸、日本海岸では男鹿半島以北の東北地方に多い。市場に入荷されるものは、ほとんどが宮城県の養殖もの。新潟では水揚げされることは殆ど無い。体は10~20cmの球形。外皮は赤く、乳頭状突起が並ぶ。
持ち味にもなっている特有の磯臭さは、水揚げ後、時間が経過するにつれて弱まり、生臭みが増す。アカボヤはやや小型で、マボヤより冷水系で、北海道、千島沿岸。スボヤは体液に酸味があり、東北、北海道に分布する。

鮮度の見分け方は表面の皮に張りがあり赤みがあざやかなもの。鮮度が落ちてくると皮が柔らかく、色が黒っぽくなってくる。鮮度の良いうちに剥いてしまうのが良い。

◆おろし方
(1)下部を切り落とし、水液を出す。この液は吸い物、合わせ酢などに使える。
(2)半分に切り割って、外側のかたい皮を取り除き、中身を取り出す。中身全部が食べられる。
(3)(2)を塩水で洗って、食べやすい大きさに切る。

生で酢の物にするのが、磯の香りを生かすにはいちばん。きゅうり、うど、大根おろしなどを組み合わせるとよい。三杯酢は、あまみが強いと味がくどくなるので砂糖を控えめに。酢大さじ1に対して、砂糖小さじ1~2、醤油大さじ1/2くらいがよい。


モクガレイ(夏)

地元ではほとんど煮つけで食べられる。あらいにしても美味。

日本各沿岸で水揚げされる。
とくに瀬戸内、関東、東北、北海道では釣り人に人気が高く、晩秋から冬にかけて、釣り物が少なくなる時期に船釣り、投げ釣りで狙う。新潟では、春から夏にかけて底引網で漁獲され、20cmくらいの大きさのものがとれる。ところによって呼び名や扱いが大きく違い、関東では真子ガレイと呼ばれ、刺身などで扱われるが、新潟ではほとんど煮つけで食べられる。

ところによって呼び名や扱いが大きく違い、関東では真子ガレイと呼ばれ、刺身などで扱われるが、新潟ではほとんど煮つけで食べられる。

◆モクガレイのあらい
(1) モクガレイは五枚に卸し、皮を引いて、エンガワを取る。皮目を上にし、身の節目にさからわないように薄くそぎ切りにする。
(2) 切った身をざるに入れ最初に水道の蛇口で水をかけ、身がちりちりとはぜてきたら、水氷に移し、はしでかき混ぜて冷たくする。 乾いた布巾の上にのせ、よく水気を取る。
(3) みょうがの薄切りをさらして器に敷き、その上にあらいを盛り、あしらいを添え、ワサビ醤油で食する。


紋甲イカ(夏)

身が厚く美味です。刺身やすし種、また、つけ焼、ウニ焼にもどうぞ。

足が10本あり頭部と直結、内2本は長く伸縮自在。
アカイカ科(スルメイカ)、ジンドウイカ科(ヤリイカ)、コウイカ科、ツメイカ科(2mに達するニュウドウイカ)、ホタルイカモドキ科(ホタルイカ)、テカギイカ科(ドスイカ)などがある。

スルメイカ…各地沿岸に見られ、夏に北上、冬に南下する。胴長30cm位になり、昼夜での深浅移動を行なう。
ヤリイカ…全国に分布。春から夏にかけ産卵のため浅所にくるのを釣る。胴は名のとおり「槍」のように細長く、40cmに達する。
コウイカ…20cm弱で、扁平な胴部の中に、白い甲を持つ。全国に分布、大群での回遊はしない。スミイカ、マイカとも。
アオリイカ…胴長25cm位。本州以南に分布、春に産卵する。
ホタルイカ…深海性で発光器を持つ。小型で、日本周辺にすむ。漁獲は富山湾・相模湾で多く、初夏に産卵する。

煮すぎると硬くなるので、さっと火を通す程度にするとよい。
イカは水分が多く、煮ると煮汁に水分が出てしまうので、イカに火が通ったら、イカはいったん取り出し、煮汁を少し煮詰め、ここに取り出しておいたイカをもどし人れて煮汁をからませるとよい。酒と相性がよく、煮つけの調味には欠かせない。
産地の市場・魚屋では、まだが生きている新鮮なもの出回る。刺身には最適な肉質。 アオリイカ、ヤリイカ、コウイカ、スルメイカの順に美味。また、ホタルイカは丸ごと内臓も一緒に刺身で食ベる。
旬は、ヤリイカ、コウイカが春、アオリイカ、スルメイカが夏とされている。

●皮のむき方
(1) 胴内の軟骨のところに指を入れて足のつけ根をはがし、わたとともに足を引き抜く。わたとすみ袋を破らぬよう注意。 
(2) 胴とえんぺらの間を指で少しはがし、ここを起点にえんぺらをつかんで足の方向に引っぱり、えんぺらをはがす。イ力はすべりやすく、力が入れにくいので、指に塩をつけて扱うとよい。
(3) えんぺらをはがしたあとの皮の切れ目から、皮をぐるりとむき取る。外皮の下に多少の繊維があるので、これも一緒にむく。特に刺し身用は、残った繊維を竹串でていねいに除く。

◆イカの塩辛の作り方
(1) イカの身150gを細く切る。足を使うときは食べやすく切る。塩小さじ2(イカの7%)の半量を加えてはしで混ぜ、ざるにのせて水けをきる。
(2) イカのわた2はい分(150g)は、すみ袋を除き、中身をしごき出す。
(3) 残りの塩を加えて、はしでよくかき混ぜ、(1) を加え混ぜる。
(4) ボールにラップをして冷蔵庫に入れ、1日に3~4回かき混ぜる。5~7日で食べごろになる。 ※ボールなどの器具は清潔なものを用い、調理中にかき混ぜる時もはしを使う。手で混ぜると雑菌が繁殖することがある。


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